湿り空気線図

湿り空気線図 見方

6種類の線の読み方から、状態点の求め方、冷却・加熱・加湿・混合の状態変化、SHF 線と分度器、作図練習で使う冷房の作図手順までを、ひと通りまとめました。各ステップには、計算ツールですぐに作図して確認できるリンクを付けています。

10 20 30 40 50 60 70 80 90 0 5 10 15 20 25 30 35 40 0 5 10 15 20 25 °C g/kg OA RA M SA
図。冷房の作図例:外気 OA(33 °C・60 %)と室内 RA(26 °C・50 %)を、外気 30 % で混ぜた M、M から冷却コイルを通って給気 SA へ。点線は室内の点を通る SHF 0.8 の線、曲線は相対湿度、斜線は比エンタルピー。

6種類の線の読み方

乾球温度線(垂直な直線)
横軸の目盛から真上に伸びる線です。点から真下に降ろして、横軸の値を読みます。
絶対湿度線(水平な直線)
右側の縦軸の g/kg(DA) の目盛から延びる水平線です。点から右へ水平に進んで読みます。同じ水平線上の点は、露点温度も同じです。
相対湿度線(右上がりに曲がる曲線)
いちばん上の飽和線が 100 %、その下に 90 %、80 % … が同じ形で並びます。点が2本の曲線の間にあるときは、距離の比で概算します。
湿球温度線(右下がりの斜線)
飽和線上の目盛から始まり、右下へ下がる斜線です。点を通る線をたどって左上へ進み、飽和線と交わる点の温度を読みます。比エンタルピー線とほぼ平行ですが、同じではありません。
比エンタルピー線(緩やかな斜線)
線図の左上の外側にある比エンタルピーの目盛(kJ/kg(DA))から、右下へ引いた斜線です。定規を当てて、点を通るように平行移動し、外側の目盛で読みます。
比容積線(急な斜線)
0.01 m³/kg 間隔の、急な角度の斜線です。点が2本の間にあるときは、比で概算します。風量 m³/h を質量流量 kg/h に換算するとき(kg/h = m³/h ÷ v)に使います。

露点温度には、専用の線はありません。点から左へ水平に進み、飽和線と交わる点の温度が露点温度です。

状態点の求め方

  1. わかっている2つの値を選びます。通常は、乾球温度と相対湿度、または乾球温度と湿球温度です。
  2. 2つの値の線が交わる点が状態点です。例:乾球 26 °C の垂直線と、相対湿度 50 % の曲線の交点。
  3. 残りの値は、それぞれの線に沿って読み取ります。26 °C・50 % なら、絶対湿度 10.5 g/kg、比エンタルピー 52.9 kJ/kg、湿球温度 18.7 °C、露点温度 14.8 °C、比容積 0.862 m³/kg です。

計算ツールでこの点を開く

状態変化の読み方

顕熱の加熱・冷却
水蒸気量が変わらないため、水平に動きます。加熱は右へ、露点温度より高い表面での冷却は左へ動きます。相対湿度は、加熱すると下がり、冷却すると上がります。
冷却除湿
コイル表面が露点温度より冷たいと、水蒸気が凝縮して、点が左下へ動きます。コイル出口は、通常は相対湿度 90〜95 % 付近です。壁や配管の表面が露点温度より冷たい場合も、同じ原理で結露します。
加湿
蒸気加湿はほぼ真上に、水噴霧(気化式)加湿は湿球温度線に沿って左上に動きます。水噴霧では温度が下がります。
混合
2つの空気を混ぜた点は、2点を結ぶ直線上にあり、風量の多いほうに近くなります。外気 30 % なら、室内の点から外気の点に向かって線分の 30 % の位置です。33 °C・60 % の 3,000 m³/h と、26 °C・50 % の 7,000 m³/h を混ぜると、28.1 °C・54.7 % になります。

計算ツールで混合を開く計算ツールで等湿球の方向線を開く計算ツールで結露判定を開く

SHF と分度器

顕熱比 SHF = 顕熱 ÷ (顕熱 + 潜熱) です。室内負荷の SHF が 0.8 なら、給気は室内の点を通る「SHF 0.8 の線」の上にあれば、顕熱と潜熱の両方を処理できます。

手作図では、線図の左上にある分度器(半円)の中心と SHF の目盛 0.8 を結んで傾きを決め、三角定規でその線を平行移動して、室内の点を通るように引きます。この線が、給気の状態が乗る位置です。

計算ツールで SHF 線を開く

冷房の作図手順

作図練習でよく出る湿り空気線図の問題は、多くの場合この手順で解きます。例:外気 33 °C・60 %、室内 26 °C・50 %、外気 30 %、室内の顕熱 10 kW・潜熱 2.5 kW、吹出し温度差 10 K。

  1. 外気の点 OA(33 °C・60 %)と、室内の点 RA(26 °C・50 %)を置きます。
  2. OA と RA を直線で結び、RA から OA に向かって 30 % の位置に、混合点 M を置きます。
  3. SHF = 10 ÷ (10 + 2.5) = 0.8 を分度器で決め、RA を通る SHF 線を引きます。
  4. 吹出し温度差が 10 K なら、26 − 10 = 16 °C の垂直線と SHF 線の交点が、給気点 SA です。温度差の代わりにコイル出口の相対湿度(例:90 %)が与えられた場合は、その曲線と SHF 線の交点を使います。
  5. 給気量 = 室内の顕熱 ÷ (ρ × cp × Δt) ≈ 10 × 3,600 ÷ (1.2 × 1.006 × 10) ≈ 2,980 m³/h です。
  6. M と SA を結んだ線が、冷却コイルの状態変化です。コイル負荷 = 質量流量 × (h_M − h_SA)、除湿量 = 質量流量 × (x_M − x_SA) です。

計算ツールの冷暖房計算でこの例を開く

計算ツールの冷暖房計算は、同じ入力から混合点・給気点・コイル負荷・給気量を求めるので、手作図の結果と数値をすぐに照合できます。暖房は、混合 → 加熱(水平)→ 加湿(蒸気は垂直、水噴霧は湿球線)の順で、同じ欄の暖房モードで計算します。

出典

よくある質問

湿球温度線と比エンタルピー線は、なぜほぼ同じに見えるのですか?

断熱飽和(水が蒸発して空気を冷やす過程)では、空気の比エンタルピーがほぼ一定に保たれるためです。実際には、蒸発した水の比エンタルピーの分だけ少し違うので、精密な線図では2本の線を別々に描きます。比エンタルピーを湿球温度線に沿って読むと、小さな誤差が出ます。

混合点は、なぜ直線上にあるのですか?

乾き空気の質量、水蒸気の質量、比エンタルピーがそれぞれ保存され、線図の軸が比エンタルピーと絶対湿度にほぼ比例しているためです。厳密には乾き空気の質量比で分けるので、正確な値は、風量を比容積で kg/h に換算して計算します。

kcal 単位の古い線図が出てきたら、どう読みますか?

線の形と読み方は同じで、目盛りだけが異なります。1 kcal/kg = 4.1868 kJ/kg、1 kg/kg′ = 1,000 g/kg(DA) として読み替えます。SI 単位の白紙の線図 PDF は、https://psychart.kr/ja/download/ で入手できます。

最終更新 2026-10-12。