空気線図 よくある質問
湿り空気線図の読み方からコイル負荷の計算まで、このツールを使うときによくある質問をまとめました。数値の例はすべて、海面の大気圧 101.325 kPa を前提としています。
線図の基礎
湿り空気線図(サイクロメトリックチャート)とは何ですか?
湿り空気の状態を1枚のグラフで表したものです。横軸は乾球温度、縦軸は絶対湿度(乾き空気 1 kg に含まれる水蒸気の g 数)で、その上に相対湿度・比エンタルピー・湿球温度・比容積の線が重ねて描かれているため、2つの値がわかればほかの物性値をすべて読み取れます。
空調(HVAC)設計、冷却コイルや加湿器の選定、建物の環境管理、結露の判断などに使われます。
湿り空気線図はどう読みますか?
① 乾球温度は下の横軸から上に伸びる垂直線、② 絶対湿度は右の縦軸から延びる水平線、③ 相対湿度は左下から右上へ曲がる赤茶色の曲線(いちばん外側の太い黒線が 100 % の飽和線)、④ 比エンタルピーは飽和線の外側の目盛から右下へ下がる緑の斜線、⑤ 湿球温度は比エンタルピー線とほぼ平行な青緑の点線、⑥ 比容積は急な角度の灰紫の点線で読みます。
露点温度は、その点から水平に左へ進んで飽和線と交わる点の温度です。このツールでは、カーソルを合わせるとその位置の値がカーソル横のカードにすぐ表示されます。
どの2つの値で状態点を決められますか?
乾球温度・相対湿度・湿球温度・露点温度・絶対湿度・比エンタルピー・比容積のうち、互いに異なる情報の2つであれば決められます(24通りの組み合わせ)。絶対湿度と露点温度のように同じ情報になる組み合わせや、飽和線より上(相対湿度 100 % 超)になる場合は、理由を表示します。
例:乾球 30 °C、湿球 22 °C なら、相対湿度 50.0 %、露点温度 18.4 °C、絶対湿度 13.30 g/kg(DA) です。
物性値と用語
乾球温度と湿球温度はどう違いますか?
乾球温度は、通常の温度計で測った空気の実際の温度です。
湿球温度は、水で湿らせた布を巻いた温度計に風を当てて測った温度で、水が蒸発する際に熱を奪われるため、乾球温度より低くなります。空気が乾いているほど差が大きくなり、飽和状態(相対湿度 100 %)では両者が等しくなります。冷却塔や気化冷却の性能を見るときに重要な値です。
このツールの湿球温度は、ASHRAE の式による熱力学的湿球温度です。
相対湿度と絶対湿度はどう違いますか?
相対湿度(%)は、いまの空気中の水蒸気量が、その温度で含むことのできる最大量の何 % にあたるかを表します。水蒸気量が同じでも、温度が変わると相対湿度は変わります。
絶対湿度(g/kg(DA))は、乾き空気 1 kg に含まれる水蒸気の質量で、温度に関係なく水蒸気量だけを表します。日本の空調分野では、これを絶対湿度 x と呼ぶのが一般的です。空気 1 m³ あたりの水蒸気質量(g/m³)は容積絶対湿度といい、別の量です。
例:20 °C・50 % の空気の絶対湿度は 7.26 g/kg(DA)、30 °C・50 % では 13.31 g/kg(DA) です。相対湿度が同じでも、水蒸気量はほぼ2倍になります。
比エンタルピーとは何ですか?
比エンタルピー(kJ/kg(DA))は、乾き空気 1 kg と、その空気に含まれる水蒸気が持つ熱エネルギーの合計です。式は h = 1.006 t + x (2501 + 1.86 t) で、前半が乾き空気の顕熱、後半が水蒸気の潜熱と顕熱です。
空気を加熱・冷却するときに必要な熱量は「質量流量 × 比エンタルピー差」で求めます。線図上の等比エンタルピー線は、左上から右下へ下がる斜めの線です。
露点温度とは何ですか?
水蒸気量を変えずに空気を冷やしたとき、飽和して水滴ができ始める温度です。
壁・窓・ダクト・配管の表面温度が露点温度より低いと結露します。例:室内 25 °C・50 % の露点温度は 13.9 °C なので、これより冷たい表面には水滴が付きます。
線図上では、その点から水平に左へ進んで飽和線と交わる点の温度です。
比容積と密度はどのような関係ですか?
比容積(m³/kg(DA))は乾き空気 1 kg が水蒸気とともに占める体積、密度(kg/m³)は湿り空気 1 m³ の質量(水蒸気を含む)です。
両者はおおむね逆数の関係ですが、正確には 密度 = (1 + x) / 比容積 です(x は kg/kg(DA))。例:25 °C・50 % では、比容積 0.858 m³/kg(DA)、密度 1.177 kg/m³ です。
温度や湿度が高くなると、密度は小さく、比容積は大きくなります。体積風量(m³/h)を質量流量に換算するときに比容積を使い、ファンやダクトの設計で重要になります。
計算と精度
このツールはどの式を使っていますか? 精度は十分ですか?
ASHRAE Handbook Fundamentals 2017 の1章の式を使っています。飽和水蒸気圧は Hyland-Wexler の式で、湿球温度と露点温度は近似式ではなく反復計算で求めます。
計算エンジンは当サイトで独自に作成したもので、同じ ASHRAE の式を実装した公開ライブラリ PsychroLib の結果と自動テストで比較しています。温度は 0.001 °C 以内、絶対湿度・比エンタルピー・比容積は相対誤差 1e-9 以内で一致します。ただし、湿球温度が 0 °C 付近のごく乾燥した空気では、ASHRAE の式自体にある水と氷の切り替えの影響で、湿球温度がわずかにずれることがあります。
乾球温度 25 °C、相対湿度 50 % の物性値は?
大気圧 101.325 kPa の場合、絶対湿度 9.88 g/kg(DA)、比エンタルピー 50.3 kJ/kg(DA)、湿球温度 17.9 °C、露点温度 13.9 °C、比容積 0.858 m³/kg(DA)、密度 1.177 kg/m³、水蒸気分圧 1,585 Pa です。
冷却コイルの負荷(kW)と凝縮水量はどう計算しますか?
全熱 = 乾き空気の質量流量 × (出口の比エンタルピー − 入口の比エンタルピー)、顕熱 = 質量流量 × (1.006 + 1.86 × 入口の絶対湿度) × 温度差、潜熱 = 全熱 − 顕熱、凝縮水量 = 質量流量 × 絶対湿度の差 で求めます。
例:33 °C/60 % の空気を 26 °C/50 % まで冷却する場合、乾き空気 3,600 kg/h なら、全熱 29.25 kW、顕熱 7.29 kW、潜熱 21.96 kW、顕熱比 0.25、凝縮水量 31.0 kg/h です。風量が 10,000 m³/h(入口の状態基準)なら、全熱 90.9 kW、凝縮水量 96.4 kg/h になります。
このツールでは、2つの点を線で結んで風量を入力すると、すぐに結果が出ます。
標高が高い場所(大気圧が低い場所)でも計算できますか?
はい。ヘッダー右側の「大気圧 101.325 kPa」を押すと(スマートフォンではメニュー内の「大気圧」)、標高(m)または大気圧(kPa)を入力できます。一方を変更すると、もう一方が標準大気の式(ASHRAE 1章 式3)ですぐに換算されます。例えば、標高 800 m は約 92.08 kPa、標高 1,500 m は約 84.56 kPa です。
気圧を変えると、線図のすべての曲線(飽和線・相対湿度・比エンタルピー・湿球温度・比容積、比エンタルピーの目盛、分度器)が新しい気圧で描き直され、置いた点は入力した2つの値から再計算されます。同じ乾球 26 °C・相対湿度 50 % でも、気圧が低いと絶対湿度は大きくなります(84.56 kPa で約 12.6 g/kg(DA))。状態変化の kW、計算の手順、エクスポート・印刷、共有リンクにも、その気圧が反映されます。範囲は標高 -500〜5,000 m(大気圧 約 54.02〜107.48 kPa)で、「海面」ボタンまたは Ctrl+Z で元に戻せます。
使い方
このオンラインツールはどう使いますか?
線図の上でカーソルを動かすと、その位置の乾球温度・相対湿度・絶対湿度・比エンタルピー・湿球温度・露点温度が、カーソルの横のカードに表示されます。線図をクリックすると状態点ができ、ドラッグで動かせます。
右側の計算パネルで指定する値を2つ選んで数値を入力すると、その点が計算されます。2つの点を結ぶと、状態変化(冷却・加熱・加湿など)と風量に応じた kW が表示され、「混合」を押すと2つの空気を混ぜた点が表示されます。
スマートフォンでは、タップで点を置き、長押しして狙いを定めると値が表示されます。
線図を画像や PDF として保存できますか?
はい。線図の上のツールバーにある「エクスポート」から、点と状態変化の表を CSV で、線図を PNG・SVG の画像で保存できます。「印刷 / PDF保存」を選ぶと、線図と表が A4 で印刷されます(印刷画面で「PDFとして保存」を選択)。
「リンクをコピー」を押すと、現在の点と状態変化をそのまま開けるアドレスがコピーされ、共有できます。作業内容はこのブラウザに自動保存されるので、開き直しても残っています。手書きで作図するための白紙の線図は、PDF ダウンロードページ(https://psychart.kr/ja/download/)で入手できます。
白紙の湿り空気線図を印刷できますか?(PDF ダウンロード)
はい。PDF ダウンロードページ(https://psychart.kr/ja/download/)で、標準カラー・薄め(手書き作図用)・白黒の3種類を、A4・A3 横向きで無料ダウンロードできます。
範囲は乾球温度 -10〜50 °C、絶対湿度 0〜30 g/kg(DA)、SI 単位、大気圧 101.325 kPa で、乾球 1 °C・絶対湿度 0.5 g/kg・比エンタルピー 1 kJ/kg の補助目盛と顕熱比の分度器が入っています。印刷するときの倍率は「実際のサイズ」にしてください。
無料ですか? 結果を Excel に移せますか?
無料で、会員登録は不要です。学習・研究・業務のどれにでもお使いいただけます。
物性値の表や点の一覧の「表をコピー」を押すと、タブ区切りの表がコピーされ、そのまま Excel に貼り付けられます。「エクスポート」の「表 CSV」からファイルとして保存することもできます。
どのブラウザや機器で使えますか?
Chrome、Edge、Safari、Firefox の最新版で使えます。スマートフォンやタブレットでも、タップで点を置く、長押しで値を見る、点をドラッグするといった操作ができます。
多くの点や状態変化を一度に見るなら、パソコンの画面のほうが便利です。ダークモードは右上のボタンで切り替えます。
ここにない質問は、コミュニティに書き込むか、上部の「機能要望」からお送りください。 最終更新 2026-10-07。