ツール

冷房負荷 計算ツール(簡易冷暖房負荷)

設計の初期段階や見積り、資格試験の学習に使える簡易計算です。用途と面積から顕熱・潜熱の負荷、室内 SHF、給気風量を求め、「湿り空気線図で開く」で、室内の点・SHF 線・外気の点を計算ツールにそのまま描きます。

計算の根拠

室内負荷は項目別の原単位の合計、外気負荷は計算ツールの状態変化カードと同じ湿り空気の計算です。冷房は除去する熱、暖房は供給する熱を + で表します。

項目式説明・根拠
人体qs = N·s, ql = N·ls・l は下の人体発熱の表(W/人)。人員 N = 密度 × A / 100、または手入力
照明・機器q = L·A, q = E·Aすべて顕熱で、即時に負荷になるものとして扱います(使用率・蓄熱は無視)。原単位は参考値です
外皮(簡易)q = U·Ae·(t_o − t_r) + S·A貫流は乾球温度差のみで、日射・その他は床面積あたりの1つの値で扱います。暖房は U·Ae·(t_r − t_o)
外気量Q = (Rp·N + Ra·A)/Ez × 3.6ASHRAE 62.1 の換気率手順。Ez は 62.1 の空気分配効率 Ez の表の値で、冷房の初期値は 1.0(天井からの冷風吹出し)、暖房の初期値は 0.8(天井からの温風吹出し・天井への還気)。または Q = n·A·H、あるいは直接入力
外気の顕熱qs = ṁ·(1.006 + 1.86 x_o)·(t_o − t_r)ṁ = Q / (3600·v_o)、外気の比容積基準。計算ツールの状態変化カード(外気 → 室内)と同じ定義
外気の潜熱ql = ṁ·(h_o − h_r) − qs全熱から顕熱を引いた値(状態変化カードと同じ)。水分は ṁ·(x_o − x_r)
室内 SHFSHF = Σqs / (Σqs + Σql)外気を除いた室内負荷のみ。この値で線図に SHF 線を引きます
給気風量(冷房)ṁ_s = q_r / (h_r − h_s), Q_s = ṁ_s·v_st_s = t_r − ΔT、給気点は「給気 → 室内」の状態変化の SHF が室内 SHF になる点(計算ツールの冷房計算と同じ)
給気風量(暖房)ṁ_s = q_r / ((1.006 + 1.86 x_s)·ΔT)t_s = t_r + ΔT、x_s = x_r(計算ツールの暖房計算と同じ)
単位1 USRT = 3.517 kW, 1 kcal = 4.1868 kJ米国冷凍トン、IT カロリー

人体発熱(ASHRAE Fundamentals 18章 表1)

室温 24 °C で、男女・年齢の構成を反映した補正値です(W/人、空気の流れが遅い場合)。室温が高いと、同じ総量でも潜熱の割合が大きくなります。飲食店の値は、料理からの発熱を含みます。版によって値が少し異なるので、使用している版の表と照合してください。

活動適用例顕熱 W潜熱 W
劇場で着席劇場6530
着席での軽作業事務所・ホテル・集合住宅7045
一般的な事務作業事務所・ホテル・集合住宅7555
立位での軽作業・歩行百貨店・店舗7555
歩行・立位薬局・銀行7570
食事(飲食店)飲食店8080
軽い作業台での作業工場80140

必要外気量(ASHRAE 62.1 表6-1)

換気率手順における、1人あたり・面積あたりの外気量と、標準の在室密度です。呼吸域の外気量 Vbz = Rp·Pz + Ra·Az を、62.1 の空気分配効率 Ez の表の値で割ります(天井からの冷風吹出し 1.0、天井からの温風吹出し・天井への還気 0.8。計算ツールは冷房 1.0、暖房 0.8 が初期値で、選択できます)。値は版によって変わることがあるので、適用する版と照合してください。

用途Rp L/s·人Ra L/s·m²密度 人/100 m²1人あたり m³/h
事務スペース2.50.3530.6
会議室2.50.35011.2
販売(店舗)3.80.61528.1
飲食店の客席3.80.97018.3
教室(9歳以上)50.63524.2
講義室3.80.36515.3

用途プリセットの初期値

根拠の列に出典がある値のみが出典のある値で、「参考値」は出典を確認できず、余裕を見込んだ初期値です。ご自身で入力してお使いください。

用途人員・発熱外気量照明・機器 W/m²
事務所5 人/100 m²(62.1), 75/55 WRp 2.5・Ra 0.3(62.1)10 · 15 (参考値)
会議室50 人/100 m²(62.1), 70/45 WRp 2.5・Ra 0.3(62.1)10 · 5 (参考値)
店舗(物販)15 人/100 m²(62.1), 75/55 WRp 3.8・Ra 0.6(62.1)15 · 5 (参考値)
飲食店(客席)70 人/100 m²(62.1), 80/80 WRp 3.8・Ra 0.9(62.1)12 · 10 (参考値)
教室35 人/100 m²(62.1), 70/45 WRp 5・Ra 0.6(62.1)10 · 5 (参考値)
住宅(集合住宅)4 人(参考値), 70/45 W0.5 回/h(初期値)6 · 5 (参考値)
サーバー室2 人(参考値), 70/45 W100 m³/h(参考値)10 · 500 (参考値)

簡易計算の限界

この計算は原単位を足し合わせる簡易的な方法のため、日射(方位・時刻・ガラスの遮蔽)、壁体や室内の蓄熱による時間遅れ、時刻別のピーク負荷、すきま風、ダクト・ファンからの熱取得、再熱、安全率は別途計算していません。設計初期の規模感の把握、見積り、試験問題の練習に使い、機器を選定する前には詳細な負荷計算(ASHRAE の RTS 法を用いる HAP・TRACE などのプログラム)を行ってください。

暖房は内部発熱と日射を除き、外皮の貫流と外気のみを入れて安全側に見積もります。加湿量は外気分のみで、室内で発生する水分(人体など)は含みません。

計算例

事務所 100 m²、室内 26 °C・50 %、外気 32 °C・60 %、密度 5 人/100 m² → 5 人、一般的な事務作業 75/55 W、照明 10・機器 15・日射 20 W/m²、U 1.0 W/m²K × 50 m²、62.1 の外気量 (2.5 × 5 + 0.3 × 100) × 3.6 = 153 m³/h、吹出し温度差 10 K の場合。

室内:人体 0.375/0.275 kW、照明 1.000、機器 1.500、外皮 1.0 × 50 × 6 = 0.300、日射 2.000 kW → 顕熱 5.175、潜熱 0.275、SHF = 5.175 / 5.450 = 0.950。

外気:x_o 18.033、x_r 10.496 g/kg、h_o 78.37、h_r 52.91 kJ/kg、v_o 0.8895 m³/kg → ṁ = 153 / (3600 × 0.8895) = 0.04778 kg/s、顕熱 0.04778 × 1.0395 × 6 = 0.298 kW、全熱 0.04778 × 25.45 = 1.216 kW、潜熱 0.918 kW、水分 1.30 kg/h。

合計:顕熱 5.473、潜熱 1.193、全熱 6.666 kW = 1.90 USRT = 5,732 kcal/h。給気 16 °C・10.282 g/kg、ṁ = 5.450 / (52.91 − 42.12) × 3600 = 1,817 kg/h → 1,513 m³/h(ρ = 1.2、cp = 1.006 の概算式 5.175 kW / (1.2 × 1.006 × 10) = 1,543 m³/h とは 2 % の差)。

2 % の差は、概算式が ρ·cp を 1.2 kg/m³・1.006 kJ/kgK に固定しているためです。この計算では、湿り空気の比熱 1.006 + 1.86·x(1.025)と、給気点の比容積(0.833 m³/kg、ρ は約 1.20 kg/m³ だが乾き空気基準)を使っています。

出典

よくある質問

冷房負荷はどう計算しますか?

室内の顕熱(人体・照明・機器・外皮の貫流・日射)と室内の潜熱(人体)を足し、外気を室内の状態まで冷やす外気負荷を加えます。この計算ツールは、用途のプリセットと面積から各項目を入力し、顕熱・潜熱に分けて kW・USRT・kcal/h で表示します。日射や蓄熱の時刻別の変化は含まない、簡易計算です。

給気量はどう求めますか?

概算式は、給気量(m³/h)= 室内の顕熱(kW)× 3,600 ÷ (1.2 × 1.006 × 吹出し温度差) です。室内の顕熱 10 kW、温度差 10 K なら約 2,980 m³/h です。この計算ツールは、室内 SHF の線上にある給気点の比エンタルピー差と比容積から、同じ値をより正確に求めます。

冷房負荷の kW を冷凍トンや kcal/h に換算するには?

1 USRT = 3.517 kW、1 kW = 860 kcal/h です。35 kW は約 9.95 USRT、30,100 kcal/h です。詳しい表と日本冷凍トンとの違いは、https://psychart.kr/ja/tools/units/rt-kw/ にあります。

最終更新 2026-10-12。