送風機静圧 計算ツール(ダクト静圧・送風機動力)

ダクト寸法を決めた次の段階です。送風機から最も遠い吹出口まで区間ごとに風量・寸法・長さ・ΣK を入れ、フィルタ・コイルなどの機器損失と余裕を加えて送風機静圧・全圧、軸動力、電動機の目安を求めます。

計算の根拠

区間ごとに摩擦損失と局部損失を足し、機器損失を加えて余裕を掛け、送風機全圧を求めます。静圧は全圧から吐出動圧を引いた値です。

項目式説明・根拠
空気密度ρ = p / (R_da · T)乾き空気・理想気体、R_da = 287.042 J/(kg·K)。湿分は無視(約 1 %)
摩擦損失Δp_f = R · L, R = (f / D) · ρV²/2f は Colebrook 式(層流 64/Re)。ダクトサイズ計算と同じ関数
角ダクト相当直径D_e = 1.30 (a·b)^0.625 / (a + b)^0.25Huebscher 式。摩擦のみに使い、動圧は実断面の風速 Q/(ab)
局部損失Δp_K = ΣK · ρV²/2ΣK は動圧の倍数。下の参考表か ASHRAE Duct Fitting Database
送風機全圧・静圧P_t = (Σ Δp + Σ Δp_e) × (1 + m), P_s = P_t − Pv₁m 余裕率、Pv₁ 区間 1(送風機吐出ダクト)の動圧
動力P_a = Q · P, P_shaft = P_a / η, P_motor ≥ P_shaft × (1 + α)Q m³/s、P は効率の基準に合わせ P_t か P_s。電動機は標準規格へ切り上げ

局部損失係数の参考値

典型的な参考値です。実際の K は形状・寸法比・風量比で大きく変わるため、設計では ASHRAE Duct Fitting Database・SMACNA 資料やメーカー値を使ってください。分岐ティーは風量比で 0 付近から 1 以上まで変わるため表から外しました。

継手K(参考値)根拠・注意
ダクト端の出口(広い空間へ)1.0運動量式: 出口動圧がすべて損失。確度高い
鋭い入口(壁と同一面)0.5Idelchik・ASHRAE の入口継手の典型値。確度高い
急拡大(A₁ → A₂)(1 − A₁/A₂)²Borda-Carnot 式、上流(A₁)動圧基準。確度高い
円形なめらか 90° エルボ、r/D 1.50.15ASHRAE 円形エルボの典型値(r/D 1.0 なら約 0.2)。確度中
角形直角エルボ、ガイドベーンなし、H/W 11.2ASHRAE 角形エルボの典型値。ベーンで大きく下がる。確度中
バタフライダンパ全開0.2ASHRAE ダンパの典型値。羽根の厚さ・構造で変わる。確度中

例題

空気 20 °C・101.325 kPa、亜鉛鉄板(ε 0.09 mm)。下の 3 区間(計算機の既定値)に中性能フィルタ 150 Pa、冷水コイル 200 Pa、吹出口 30 Pa(「例題の値を入れる」)、余裕 10 %、全圧効率 60 %、電動機効率 90 %・余裕 15 %。

区間寸法 mm流量 CMH風速 m/s動圧 Pv Pa摩擦 R Pa/m局部損失係数の合計 ΣK区間損失 Pa
1800 × 40012,000 · L 20 m10.4265.31.940.571.5
2600 × 4008,000 · L 15 m9.2651.61.761.288.4
3Ø4003,000 · L 10 m6.6326.51.161.551.3
項目PammAq
ダクト損失(摩擦 + 局部)211.321.5
中性能フィルタ150.015.3
冷水コイル200.020.4
吹出口30.03.1
小計591.360.3
余裕 10 %59.16.0
送風機全圧 P_t650.466.3
吐出動圧 Pv₁(差し引く)−65.3−6.7
送風機静圧 P_s585.159.7

送風機全圧 650.4 Pa、静圧 585.1 Pa、軸動力 3.61 kW、電動機の目安 5.5 kW です。

限界

この計算機は入れた区間を 1 経路の直列合計としてだけ扱います。分岐系統の最大抵抗経路の自動探索、送風機の機種選定・性能曲線(運転点)、騒音計算は行いません。システム効果(送風機の入口・出口接続損失)は ΣK か機器損失で入れてください。

出典

よくある質問

送風機の静圧と全圧は何が違いますか?

全圧 = 静圧 + 動圧です。ダクト損失の合計が送風機全圧、そこから吐出動圧(ρV²/2)を引いたものが送風機静圧です。効率にも全圧効率・静圧効率があるので、メーカー資料と同じ基準で動力を求めてください。

ダクトの静圧(損失)はどう計算しますか?

区間ごとに摩擦損失 R·L と局部損失 ΣK·ρV²/2 を足します。R は Darcy-Weisbach 式と Colebrook 摩擦係数で求め、角ダクトは Huebscher 相当直径を使います。最も遠い吹出口までの経路の区間損失とフィルタ・コイルなどの機器損失を合計すると、送風機が打ち勝つべき圧力になります。

送風機の動力はどう求めますか?

空気動力 P_a = Q × P(Q m³/s、P Pa、結果 W)、軸動力は P_a ÷ 送風機効率です。例: 3.33 m³/s × 650 Pa = 2.17 kW、効率 60 % なら軸動力 3.61 kW。電動機は軸動力に余裕(例 15 %)を加えて標準規格へ切り上げます(この例は 5.5 kW)。

最終更新 2026-10-19。